写真は富士フイルムのカメラとレンズの作例です。
気になる風景 「春は山桜、秋は紅葉、この木は?」
” この~木なんの木
気になるきになる
名前も知らない木で~すから・・・♪ ”
という歌のコマーシャルが昔ありました。
ここを通る人は必ず目に入ってくる風景です。
春は山桜、秋は紅葉。
そして、この木。
スキー場、キャンプ場、クリンソウ、紅葉、千種自然水、たたらの里、釣り・・・
目的は様々ですが、町外から来られる方も少なからず印象に残っている風景ではないでしょうか?
ただ、あえて車を降りて写真を撮ろうなんて考えるのは自分ぐらいかもしれません。
山桜とは
日本独自の野生種の桜で、山地に自生する桜の総称を「山桜」と呼びます。約11種類ほどからなりますが、種類が多いため、花や色、形や時期など個体変異しているものが多くあります。
パステルに染まる春の山 「山桜とともに」
すぐそこまで山や緑に囲まれた千種町ならではの景色です。
春の息吹が芽生えるころ、
針葉樹の深い緑と、
花や広葉樹の原色やパステルの色の対比がとてもきれいです。
とりわけ、
山桜は白とは限りません。
ピンクもあれば、褐色、黄緑系もあります。
山桜の色
山に咲く花でも「こぶしの花」のように必ずしも白ではありません。人工的な交配で生まれた「ソメイヨシノ」のような「きれいな白(初期は薄ピンク)」とも限りません。自生の野生種で咲く時期も咲き方もまちまちで、褐色系、黄緑系の色のものも多くあります。花は葉っぱと同時に開花するものが多く、「赤茶色の葉っぱ」がつくものもあります。ちなみに「ソメイヨシノ」は花が先に咲きます。
色とりどりの花を咲かせる「八重桜」の風景写真(千種町)です。
済んだ青空。
色とりどりの木々と山桜。
のんびりと歩くにはとってもいい季節です♪
「桜」といえば「ソメイヨシノ」?
現在、桜といえば「ソメイヨシノ」です。花見の代表であり、天気予報の桜前線の基準になっているのもこの「ソメイヨシノ」です。しかしながら、現在の「ソメイヨシノ」は観賞用の桜として、自然もしくは人工的に交雑、改良されて江戸時代後期に開発されたとされています。つまり、「古今和歌集」など古来より「花見」「和歌」に詠まれてきた桜は主に「山桜」ということになります。
ソメイヨシノ:昔から改良が重ねられてきた栽培品種で、花見の用途で最も多く植樹されてきました。
車で普通に通れば普通の風景です。
車を降りて歩いてこそ感じるものもあります。
ただ、車を降りてわざわざ写真に撮ろうなんて考えるのも自分くらいかもしれません。
自然の近さや、春の匂い、新鮮な空気や、癒され具合も、解放感も、時間の感じ方も。
千種町はどこを歩いても、小さいけれども身近な行楽スポットです。
時間を忘れるひととき 「春の息吹」
あたたかい陽だまりの中、
春の日差しのもとでのんびりと・・・
川の流れる音と、鳥の声と、風の音と・・・
自然の音しか聞こえません
特に春は生命の息吹を感じます。
のんびり海を眺めるのもいいですが、
川の音を聞きながら、
のんびりぼ~っとしてみるのもまたいいものです。
誰もが訪れる有名な絶景スポットではありませんが。
でも、少し目を向ければ身近な観賞スポットはあちらこちらに。
「日本書紀」の時代からひたしまれた桜の美「山桜」
自然の芽吹き 色とりどりに染まる山 「千種町の風景」
新緑が芽生えるころ、春の息吹とともに山が立体的に盛り上がって見えます。
余談になりますがカメラの話
もう少し空と一緒に、山のてっぺんが入っていると結構いいアングルではなかったかと思うのですが・・・
3脚を使っていたら細部まで考えて撮れたかもしれませんが、この時は「写真の中心」と、「1/3の構図」のことだけでそこまで頭が回りませんでした。
春の山にしては秋のような色ですが・・・
ちなみに、
秋も同じように山が盛り上がって見えます。
今は昔、いにしえの桜の和歌は奈良時代「日本書紀」より!
桜を題材にした最古の和歌は奈良時代「日本書紀」に登場します。同時に桜を観賞する花見もこのころすでに行われていました。古来、桜は「美しいもの」の代表として人々に愛されてきました。
平安時代に入り、「古今和歌集」の六歌仙の一人である小野小町により、桜の花を題材にした有名な句が詠まれています。
花の色は うつりにけりないたづらに 我が身世にふる ながめせしまに
ー 百人一首 ー
この句のポイントは
- 「花の色」というのは桜の花。ここでは「女性(自分)の美しさ」を暗示しています。
- 「うつり」は「色あせた、衰えた」ということ。
- 「いたづらに」というのは「何もすることがなく、むなしく」ということ。
- 「ふる」というのは雨が降るの「降る」と、時がたつ、古くなる、年を取るの「経る(古る)」の掛詞。
- 「ながめ」とは「長雨」と「眺め(ぼんやりと外を見ながら物思いにふけること)」の掛詞。
あわせて小野小町は、特に美貌の持ち主としても有名でした。
そのことも考慮して考えると、
「色あせた桜を今の自分に重ね合わせた句」といことになります。
『美しかった桜もいつのまにか色あせてしまったなあ~。長雨で何もすることができず、ただぼんやりと外を眺めているだけのむなしい日々を過ごしている間に・・・。ああ~、昔は美貌と言われたのに、今はこの桜のように色あせて年をとってしまったなあ~』
といったところでしょうか。
こう考えると、掛詞の使い方といい、桜と今の自分の気持ちのかけ合わせ方といい、小野小町がまさに一級の歌人であったとことが計り知れます。
※ ちなみに、「花」というのは句によっては「梅の花」であったり、「菊の花」であったり色々考えられるようです。ただ、「桜」というのは先にも述べました通り現代の花見の象徴「ソメイヨシノ」ではありません。ここでの「桜」は「山桜」と思われます。
※ 「世にふる」の「世」には世の中の「男女の色恋沙汰」という意味も含まれるともされていますので、「世の色恋ごとにふけっている間に」という意味も込められているかもしれません。
最後に「山桜の花言葉」
「あなたに微笑む」「純潔」「高尚」「淡泊」「美麗」
ということで今回は古来より美の象徴としてひたしまれてきた山桜と、春の木々で色づく千種町の風景を紹介させていただきました。
ありがとうございました。
兵庫県宍粟市千種町千草33
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